人事ブログ

亀田レポート紹介 ☆第3弾☆

第1弾第2弾に引き続き、

亀田総合病院見学の第3弾です!

 

 

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<研修報告>

コンサルティング事業部 藤原

 

6月7日の亀田医療センター見学は単なる医療機関の見学にとどまらず「優れた経営とは何か?」ということについてしみじみ考えさせられた一日となった。

同時に現在の自分を振り返って、「何と狭い視野で仕事をしているのだろう」とつくづく反省させられた。これがサッカーだったら、さしずめ亀田信介先生が監督として、勝つために日々戦略を練っているとしたら、私は1プレイヤーとしてドリブルに精いっぱいで、視野はせいぜい半径1mと言ったところだろうか。。

 

ということで、亀田信介先生のお話は以下の経営のキーエレメントごとに整理したが、今後の私の指針として心に留めておきたいと思う。

 

1. 先見性(Vision)
2. 合理性(Rationality/Economy)
3.実行力 (Execution)
4.自己利益ではない社会的目標(contribution to society)

 

1. 先見性(Vision)
まず亀田メディカルセンターの強みの一つは、医師であるトップが経営センスを持って、5年、10年後の市場を冷静な目で見た上で、マスタープランを作成し、戦略に落とし込む部分にあると思う。そして、先生の場合は戦略立案の際に王道である、超マクロから、ミクロに落とし込むという方法を常にとられているようだった。視野は広く、国内にとどまらず、海外も包含されている。欧米でのIHNIntegratedHealthcare Network)*の仕組みを取り入れた亀田メディカルセンター、安房地域医療
センター、亀田ファミリークリニック館山間の医療連携の仕組みもその一例だが、最近では、隣国の中国での医療重要を見越し、メディカルツーリズムの問題を本気でビジネスチャンスとして捉え、今後予想される国内の看護師不足の問題と組み合わせて、中国人看護師の育成に既に動き始めているとのこと。アクセス出来る情報量も違うのだろうが、そのプランのスケールの大きさに感服した。

 

2. 合理性(Rationality/Economy)
先生のお話で一貫していたのが、(お金を)取るところは取る、取らないところはとらない、あるいは使うところは使う、使わないところは使わない・・という徹底的な合理性だった。コスト削減要因からいくと、館山のファミリークリニック設立では地元の業者を使い、魚類や青果の市場だった建物を900坪で1億5000万円(坪単価17万円!!!)でリニューアルしたとのこと。Kタワーのゴージャスさからは想像もつかないような慎ましさである。一方で、総合病院内の医師のための24時間体制の手術練習室には一台1500万円もするようなシミュレーター等が沢山置いてあるにも関わらず、特に管理はしていないとのこと。先生曰く、医師へのベネフィットと管理コストを考慮した結果こうした、使ってもらえないシミュレーターではしょうが無いとのことだった。先生の頭の中では一般的にコストと思われるものも「投資」と「単なるコスト」に明確に分類されており、必要な「投資」は惜しまないという点で徹底してい
るようだ。

 

3.実行力 (Execution)
先生が「次は霊安室をご紹介しましょうか?」と言われた時、「???」と思ったのは私だけではないだろう。「面白いところを見せてくれるのだな・・」と思いつつ通されたその部屋を見て仰天した。それは、高い天井まで続く大きな窓から海が一望できる明るく本当に美しい場所だった。そして霊安室の向かいには湯灌と化粧まで行う作業所があり、24時間送り人がいていつでも対応できるとのこと。また、Kタワーの病室にある付属品は、冷蔵庫や時計、情報パネルに至るまで音が出ないものを選んでいるそうだが、そのきめの細やかさにも驚いた。さて、ここで私が驚いたのはアイディアそのものではない。ここまでのアイディアを計画に落とし込み、実現するその推進力と実行力だ。ちなみに、このKタワーを作る時のプロジェクトメンバーはなんと常勤2名と兼務2名で、プロジェクト期間1年だったとのこと。凄い、の一言である。

 

4.自己利益ではない社会的目標(contribution to society)
たぶん上記の1-3を実現出来ると、事業としてはほぼ採算に乗るのだろうが、それだけでは「好かれる会社」「尊敬される会社」にならないように思う。その点から見ても、今回私は亀田メディカルセンターのあり方に素直に好感を抱いて帰ってきた。先生は、医療の立場から社会に対して何が出来るかということを常に問いかけていらっしており、自分の出来ることと出来ないことを見極めた上で、「周辺地域がどうしたら活性化するか?」「日本の医療のレベルを上げるにはどうしたら良いか?」「医療
産業全体が活性化することでどのような経済的インパクトがあるか?」という問いを一つ一つクリアしていこうとされているようだった。

 

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ところで、今回の見学をしながら、ずっと日本人デザイナーの第一人者である深澤直人さんの以下の言葉**を思い出していた。

 

「"発想"は脳のトレーニングによってできるようにはなりますが、それを具体化する、リアライズするということは誰にも出来るわけではありません。(中略)デザインの専門性というのは、こんな感じのモノがいいだろうと思ったら、そこに具体的な線が描けなければならない。その線が数ミリずれてしまうだけで、アイディアの価値を理解していなかったことが露呈することすらある。思い描いた像を具体的な形に結実させるためには、力がいる。発想したこと「アイディア」と、具体化されること「エグゼキューション」が、両輪としてしっかり成立していないと、意味不明なものになってしまいます。」

 

亀田メディカルセンターの場合、上述の「先見性」「合理性」「実行力」「社会貢献目標」全てが卓越しているのだが、特に感銘を受けたのは3の「実行力」だった。深澤氏の言うように、脳トレで発想出来るようになるかはあまり自信が無いが、少なくともExecutionの部分だけは、亀田先生に一歩でも近づきたいと思った一日だった。
(終)

 

* 米国、英国、カナダ、オーストラリアなど他の先進諸国では大胆な公立病院改革が実施されて地域医療提供体制の再構築が推進されている。その共通点は、広域医療圏単位で医療経営資源最適配分を行うためのガバナンス、意思決定の一元化の仕組みを構築していることである。意思決定一元化の経済的効果を高めるためには、異なる機能を持つ医療関連施設をネットワーク化することが有効である。米国ではこの地域医療ネットワークのことをIHN(Interated Healthcare Network:統合ヘルスケアネットワーク)と称している。IHNの本質は、医療経営資源を共有することで重複投資を
回避し、同時に医療の標準化を促すことにある。
参考:「地域医療提供体制改革(IHN化)の国際比較」客員研究員 松山 幸弘 2009年1月

**PEN 2010年6月号 No.269 P.34

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