人事ブログ

もう一つの顔シリーズ②

「人生の3/4の間行っている活動」
    - ・-・- 用賀UC事務長 正者忠範 - ・-・-

現在、私はプラタナスのクリニックにおいて事務長をしております。事務長業務というのは、一言で言えば、クリニック全体が患者さんのためになるよう円滑に運営され、さらに進歩していけるよう、院長を始め事務さんや看護師さん薬剤師さんなどのスタッフと力を合わせて道筋をつけていく仕事なのだと思っています。

機械の調子が悪いとか、あれがない、これがないなど、日々様々のことが起きている現場ですが、クリニックがお休みの日は私もお休みを満喫しています。

朝から子どもと近所の公園で遊んだり、家族で出かけたりもするのですが、月に2回ほど、小学生のときから25年間続けている「ある活動」に参加しています。


それは世界最大の社会教育運動であるボーイスカウトです。
私は成人ですから、指導者としての参加で、ボーイ隊(小学校5年生から中学校3年生)の隊長として子どもたちの指導にあたっています。

 活動の内容は、日曜日に公園や会議室にあつまって、ロープ結びをしたり、手旗信号を覚えたり。また、1年に3~4回はハイキングに行って地図の読み方を 教えたり、夏休みともなると長期キャンプ(5泊6日程度)に行って、テントを建てて宿泊したり、ご飯を炊くのに必要なかまどを自分たちで作ったり、そのかまどで使う火のおこし方を教えたりと盛りだくさんです。

もちろん、ただ闇雲に教えているわけではなく、年次計画をたてて、子どもたちの年齢・技能の進捗状況を見ながら考えます。その計画をたてるために、指導者間で月に1回ほど、会議を行います。

 指導者会議というと大袈裟に聞こえますが、メンバーは小学校から長年一緒に活動をしている人ばかりなので気の置けない仲間です。先輩・後輩関係なく、スカウト(子どもたち)にとっての最良を考えることは、患者視点の医療を考える今の仕事にも通じていると思っています。

 そもそもボーイスカウトは、約100年前のイギリスで、退役軍人だったベーデン・パウエル鄕が、当時の政治政策を嘆き、「これからの未来を担う少年達を 育てよう」と思い立ち、子どもたちの喜びそうな活動プログラムを用意して、ブラウンシー島というイギリスの島で、子どもたち20名を集めて実験キャンプを 行ったことから始まっています。その実験の成功を見たベーデン・パウエル卿は、本格的にスカウト運動の普及を開始するのです。運動は活動となり、瞬く間に 全世界に広がりました。1907年に日本でも活動が始まり、今に至ります。宇宙飛行士の野口聡一さんや麻生太郎前首相がボーイスカウト出身だというのは有名な話です。

ボーイスカウトに入ったきっかけは、親に半強制的に入れられたからですが、いつしか集会が楽しみになり、大学生の時にはずっとキャンプに行っていて、8月 のうち5日しか家に居なかった年もありました。年を経る毎に、その年代の楽しみがあり、いつの間にか25年の月日が経っていました。

スカウトの活動の中で接した言葉で、私が今でも忘れられない言葉があります。 「頑張っている人に頑張って、と言うな!」
 これは、私が大学生の時です。阪神大震災が起こりました。ボランティアに応募し、2ヶ月後に派遣されて神戸に行ったときに、地元の方に言われた言葉で す。当時、神戸は水道、電気等のライフラインはほぼ復旧しておりましたが、まだ仮設住宅が少なく、公園や校庭等でテント生活をされている方が多かった時期でした。私は、今までの活動で習得した技術を生かし、テントの張り方等や、「こうしたらもっと快適に暮らせます」というようなアドバイスをしていました。

 そんな中、あるおばあさんといろいろお話していたのですが、最後に何気なく「頑張って下さいね」と私が言ったところ、先ほどの言葉を言われたわけです。
そのおばあさん曰く、「今までさんざん頑張ってきた。これ以上、どう頑張れって言うんだ。地元の人の気持ちも知らんのに、軽々しく言うな!」と。

私はハッとしました。確かにそうでした。その方はもしかしたら家族を亡くされていたのかも知れません。私もそんなに軽い気持ちで言ったつもりもありません が、心に堪えた言葉でした。以来、私は「頑張って」という言葉を使うときは慎重に相手の気持ちを考えるようになりました。

ボーイスカウトのモットーに 「Be Prepared(そなえよつねに)」という言葉がありますが、そういった経験を通じて、自分が言葉を発するときには、事前にそれが相手に与える意味を考え、心の準備をしてから話しをするようになりました。

 そのおばあさんからはのちに「話を聞いてもらえてうれしかった」と言っていただきました。「ボランティアの方が来てくれるのは有り難い。ただ、その人達は自分たちのすることが終わったら、すぐにいなくなってしまう。でも、話を聞いてくれてありがとう。」と。

 私は今の職場以前にも医療機関に勤めており、受付での対応もしていましたが、患者様は、診療を待たされた事や間違った処方をされたときなど、先生方や看護師さんに言えない分、事務に苦情を言ってこられる方が多くいらっしゃいます。そんな時、私は、おばあさんの言葉を思い出すのです。まずは、話を聞き、相手の気持ちを考えること。そのあとで行動する。私に大切なことを気付かせてくれた、あのおばあさんには、名前も分かりませんが、とても感謝しています。

ボーイスカウト活動をしていなければ、震災下の神戸に行くこともなかったでしょう。
 続ける中で嫌になった時期も正直ありましたが、今となっては貴重な体験を数々させて頂いているスカウト活動に本当に感謝しています。だからこそ、後輩であるスカウトの子供たちのために、自分ができることをしたいと思い、今でも活動を続けています。

会社でもアウトドアの達人、と思われている節があります。花見の準備やバーベキュー、登山の企画もしたことがあります。時々、すごい!!とほめられると単純にとても嬉しいものです。

 スカウトは、一生スカウトです。私も気づいたら人生の半分以上、スカウト活動をしています。自分が選んだ道ですので、スカウトの名に恥じないような行動をしていきたいと考えています。

 最後に一つ、スカウトの中では有名な言葉をご紹介します。ベーデン・パウエル卿の「Paddle your own canoe(自分のカヌーは自分で 漕げ)」というものです。自分の進むべき道は自分でしっかり考えて見つけることが大切だという意味ですが、仕事にも同じことが言えるのではないでしょうか。しっかりと目標を持ち、自分の信じた道を進むことが出来れば、とても素晴らしいことだと思います。

 ちなみに、スカウト活動には2人の子供を連れて行くこともあるのですが、ほとんどの場合、活動中は妻に子どもを任せっきりなので申し訳ないと思っていま す。埋め合わせとして家に居るときには家事(掃除・洗濯など)は進んでやるようにしているつもりです。その頑張りに免じて、妻も活動にある程度の理解を示 してくれているのでは?という甘い期待を持っていますが、どうでしょうか、、、

妻の気持ちを考えて対処することが大切ですね。

何事も「そなえよつねに」です。
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