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熱中時代④'

前回の熱中時代④で、フォークダンスについてつい熱く語ってしまいました。今日は、念願かなって日本でのチェコの踊りの第一人者である大先生と一緒に、チェコに行ってきたレポートをお届けしたいと思います。世界のフォークダンスの中でも一番好きで、踊っている時も文句なしに幸せな気分になれるのはチェコの踊りなので、夢のような日々を過ごしてきました。

 

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チェコでは毎年6月から9月の4ヶ月間、国内の各地でほぼ毎週末国際フォークロア・フェスティヴァルが開催されている。今回の旅行は、2ヶ所の町でフェスティヴァルを見ることと、5日間のダンスセミナーが目的だった。

 

090830_1.jpg最初の町はフリーデック・ミーステック。チェコのおよそ東端に位置し、20キロ先はポーランドだ。フェスティヴァルでは、各舞踊グループの公演を鑑賞した。舞踊グループはチェコ国内のみならず外国からも6~7ヶ国いて、それぞれ素晴らしい踊りを披露してくれた。

  

090830_2.jpg また、地元ダンスグループとの交流、ヤナーチェク(スメタナ、ドヴォルザークに次ぐチェコ国民楽派の作曲家)の生誕地や小さくてのどかな村々への遠足もあり、どれも珠玉の想い出になった。

 

特に地元ダンスグループとの交流は素敵な体験だった。お城のような館で2メートルという至近距離で彼らの踊りを鑑賞した後、一緒に踊った。民族衣装に身を包んだ美男美女達と一緒に耳慣れた旋律の踊りを踊ったので、幸せ度は倍増だ。 

090830_3.jpg2番目の滞在地のストラージュニツェという町は、チェコの東南端にあり、8キロ先はスロヴァキアだ。ダンスセミナー、フェスティヴァル、その間を縫って近郊の村々やお城への小遠足があった。

 

090830_4.jpg ダンスレッスンは、プラハから先生方が見えての講習だ。いつもはプラハで行われているが、今年はストラージュニツェのフェスティヴァルに参加することもセミナーの一環だった。参加者は我々日本人グループの他に、アメリカ、カナダ、ドイツ、フランスがいた。

 

私が日本でチェコを教わっている先生は日本フォークダンス界の重鎮で、この10年余りはチェコのダンスに魅せられて少なくとも毎年2回はチェコを訪れ、ダンスセミナーを受けては日本に踊りを紹介されている。だからこの大先生とご一緒に本場の先生方から教わることは、私にとっては夢のようなことなのだ。ビデオではなかなか気づくことのできないちょっとした仕草や表情も、じかに見ることができる。直接目で見て感じることは何にも代え難い。ダンスは午前・午後・夕食後と一日3レッスンあり、ハードスケジュールだったが、幸せな気持ちで一杯だったし、食事の時のチェコビールも美味しいからか、疲れは感じなかった。本場の先生方ともすっかり親しくなった。      090830_5.jpg  ストラージュニツェの国際フォークロア・フェスティヴァルはかなり大規模で、まさに民族舞踊とフォークロアのテーマパークのようだった。

 

090830_6.jpg広大な森林公園の中に野外劇場やアリーナが点在していて、催し物(公演や簡単な講習等)はほぼ同時進行で行われている。催し物を次から次へ渡り歩きたいものの、実際にそうするのはなかなか難しかった。

 

 沢山の民族舞踊(皆アマチュア)の公演はそれぞれに素晴らしいものだったが、特に心に残った演目はスロヴァーツコ地方の男性の踊り「ヴェルブンク」のコンテスト、そして子供の歌唱大会だった。

 

090830_7.jpgヴェルブンクとは、18世紀に兵士を募集するために各地を回った踊り手と兵士による踊りのこと。最初にソロで歌って踊り、次に兵士達が集団で踊る。踊りは即興で、集団で踊る場合も各自思い思いの振り付けで踊る。

 

スロヴァーツコ地方とはスロヴァキアとの国境付近で、まさにここストラージュニツェのある地域だ。ヴェルブンクが伝承されてきた主な舞踊地域として6つに分けられ、歌と踊り、民族衣装に違いが見られる。2005 年に日本の歌舞伎と共にユネスコの無形文化遺産に登録された。

 

090830_8.jpg毎年フェスティヴァルで男性ソロ部分のコンテストが行われ、大勢の若者が各地方の民族衣装で歌と踊りを披露してくれる。皆さんパフォーマンスの前に、アルコール度50%のプラム・スピリッツを一気飲みしてからマイクの前に立つ。そして気持ち良さそうに高らかに歌った後、踊りに入る。

チェコの男性が歌う時の特徴として片手を高く挙げることが多いが、こうして野外劇場で歌っている姿を見ると、その手は天と直結しているようにも見える。次に緩やかな動きをした後速い踊りになり、跳んだりはねたりして締めくくる。まだ4~5歳位の小さな子も参加して、きちんとパフォーマンスをする。みんな歌も踊りもどちらも上手い。

 

歌舞伎はプロだが、このヴェルブンクはプロとしての仕事はない。出演者の皆さんアマチュアながら貴重な文化の継承者なのだ! そう思うと彼らがとても頼もしく、またいとおしく見えた。

 

090830_9.jpgもうひとつ心に残ったのは、子供(大多数が10代)の歌の発表会。どの子も綺麗な民族衣装で民謡を歌う。一番印象的だったのは、6歳位の女の子がマイクの前に立つまではとても恥ずかしそうにしていたのに、音楽が始まった途端何者かが乗り移ったかのような別人の顔と立ち姿になって、堂々と歌ったこと。

 

ヴェルブンクにしても子供の歌にしても、出演者の皆さん顔が輝いて、民族衣装に勝るとも劣らなかった。好きなことを真剣にやっている姿は美しく、感動を呼ぶものだ。

 

090830_10.jpg 090830_11.jpg公園と道路をはさんだ向かい側には、野外博物館が広がっている。ゆるやかな緑の丘陵地に、昔の生活を再現した家が点在しているが、フェスティヴァル期間中は、民族衣装を着た人間までもがいて、本当にタイムスリップしたかのようだった。

 

 

090830_12.jpg茅葺屋根の建物の中や外で歌いながら仕事(料理等の実演)をする人達、庭で団欒している家族、建物や木の下で演奏する楽団、野原で踊ったり歌ったりする人々・・・ まるでお伽噺のような光景だった。

 

 

フェスティバルのイベントの一つであるパレードは、約30の民族舞踊のグループと楽団(皆アマチュア)が2時間かけて街中を行進し、気が向いた所で踊りを披露する。すぐ目の前で民族衣装を着たグループが踊ったり楽器を演奏しながら次々と通り過ぎていく。夢のような絵巻物だった。

 

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090830_14.jpg今回つくづく感じたのは、みんな歌(民謡)や音楽が好きで、生活の中に溶け込んでいたということ。野外博物館にいた人々も歌ったり楽器を演奏していた。小遠足で昔ながらの手作りバター製造過程を見せてくれる所を訪問した時も、そこのおば ちゃん達が私たちがいる1時間位ずっと歌っていて止まらず、帰ることを言い出す機会がつかめず困った。

 

  

090830_15.jpgみんな自分たちの土地や受け継がれてきた文化をこよなく愛しているのだ。かの有名な「わが祖国」のスメタナは作曲でそれを表現した。この旅行で沢山の感動をもらったが、チェコの人々は民族の誇りを持ち、歌や踊りの無形文化財をプロでない一般の人々が伝承していることに感銘を覚えた旅でもあった。

 小川 

 

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↓ヴェルブンクの動画↓
http://www.youtube.com/user/merryfd#play/all/favorites-all/0/qQ_kypf_CFQ
(今年の優勝者のようです。表彰されているし、普通は後ろに誰もいません。踊りの速いパートになって後ろの男性陣(ファイナル出場者)が加わっているあたりは、まさに本来のヴェルブンクの姿かと思います)

 

http://www.youtube.com/user/merryfd#play/all/favorites-all/1/z47dwiitra4
(小さな子供のヴェルブンク)

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