今、永田町で流行っているのは『鶴は千年、亀は万年、ハトは1年』という話
だそうですが、鳩山首相の退陣から約一週間、今朝、ニューオータニで開かれた
自民党衆議院議員、茂木敏充氏(http://www.motegi.gr.jp/)の政経フォーラムに
出席してきました。
茂木さんは、栃木県足利市出身(栃木5区)で1993年に日本新党から立候補して
初当選し、当選回数6回、以前は外務副大臣、金融特命担当大臣を務めたこともある
代議士です。
現在は自民党幹事長代理及び先日発足したシャドーキャビネット(ネクストジャパン)
の総括担当として、国会論争、テレビ討論にも出ているので、
ご存じの方もいらっしゃるでしょう。
私のマッキンゼー時代の先輩で、ハーバードで貧乏学生をしていた頃、
リクルーティングに来て拾ってくれた恩人でもあります。
自民党は政権が交代しても大きく変わるところは見られず、
いかがなものかとは思われますが、茂木さんは非常にしっかりとした政策を持ち、
モノもはっきりと言う人です。
地元のおじさん、おばさんとも話が通じる愛嬌がある人で、
こういう人がエラくなると自民党も変わるのに、と期待されます。
さて、本日の講演の内容ですが、時節柄ほとんどが選挙のことになりました。
鳩山内閣が退陣し、ここ一週間で内閣支持率は大きく変わりました。
5月には19.9%(世論調査平均)まで落ち込んだ内閣支持率は、
現在は60.7%まで回復しています。
不支持率も69.5%から31.5%になりました。
これは「脱鳩山・小沢体制」への評価ですが、普天間問題をはじめ
マニフェストを実現できない民主党への期待外れ感は変わらず、
党としての支持率は20.6%から上がっているものの、32.9%に留まっているのが現状です。
「自民党的でないもの」としての民主党に期待したが、
鳩山内閣は期待外れに終わりました。
次回の参議院選挙に勝つという目的を考えると、まず第一ステップとして、
鳩山、小沢を退陣させるということは戦術的には極めて正しく、
功を奏したと言えるでしょう。
ただ、参議院選挙の成果は、どこまで菅内閣が「脱小沢」、
「クリーンかつオープンな政治」の確立を進めることができるか
(例えば、小沢さんを国会で証人喚問できるか)、
国民の期待に応えることができるかによるでしょう。
元々、民主党の支持者層は「民主党が良い」ではなく
「自民党が駄目」という「無党派層」が多く、前回の衆議院選挙時も
「何故、民主党に投票したか?」という問いに対しては、
「民主党政権が良い」25%、「マニフェストが良い」10%、「鳩山さんに期待」3%、
「選挙区の候補者に期待」2%は、合計40%にしかならず、
残りは「自民党が駄目だから」という答えでした。
「脱鳩山・小沢」効果で民主党が票を取ったとしても国民の不信感が完全に
ぬぐえたわけではないので、大勝はしないでしょう。
ただ、いわゆる「無党派層」の一部は民主党に戻ります。
その分、どこが凹むか?
まず、みんなの党の票が伸びないだろう、10議席を割るのではないか、との予測でした。
一方、自民党は伸びもせず、沈みもせずとのこと。
自民党への支持は低位安定で、20%台です。
最も内閣支持率が低かった5月で19.5%、
内閣支持率が上がった6月にも18.1%と殆ど差が見られません。
今回も自民党が票を伸ばすことは難しいでしょう。
参議院の過半数を取るには122議席必要です。
現在は社民党が離脱し、与党の議席は122ぎりぎりです。
非改選議席が66あるので、与党が過半数をとるためには56議席以上が必要となります。
国民新党を議席とすると、民主党は54議席を取らなくてはいけません。
今回の盛り返しで45議席位は取れるでしょうが、45議席を割り込むと、
第三極がキャスティングボードを握るためには10議席以上が必要となります。
自民党は「オウンゴールがないのが唯一の救い」程度なので、
議席を増やすことは相当厳しく、せめて「負けない選挙にした」とのこと。
「負けない選挙」とは、18の複数区で必ず1議席を取ること、比例で12議席とること、
残りの1人区29議席中3分の1程度を確保することだそうです。
これで大体40議席程度になり、現在の改選議席38よりは微増します。
与党が56議席をとることが難しくなると、また以前と同様ねじれ国会が発生しますが、
現在衆議院で与党が3分の2をとっていないため、
重要法案の可決は益々難しくなります。
ここで問題になってくるのは「果たして菅さんと小沢さんは、裏でつるんでいるのか」
ということで、これについては「どちらもあり得る」という見解でした。
仮に菅さんと小沢さんが「裏でつるんでいた場合」、小沢さんの工作で、
菅さんはみんなの党と手を結ぶこともありえるかもしれません。
それでも過半数は取れるかどうか?
茂木さんの考えでは、自民党は争点を「民主党への期待が実現したか?」ということと、
「財源論も含めた日本のあり方」へ持っていきたいとのことです。
過去の財政赤字の拡大要因は、公共事業ではなく50%弱は経済不況による税収の減少、
40%は少子高齢化による社会保障費の増大で説明できるとのことで、
今後も、「ばらまき」より「仕事」を増やすこと、現金給付よりサービス給付、
無駄と投資を切り分けることを政策として掲げていきたいと話しされていました。
現在、国としての債務比率は先日破たんしたギリシャがGDP比115%、
イタリアが120%に対し、日本は189%と遥かに高くなっています。
唯一の違いは国債の保有者がギリシャが30%が国内だったのに対し、
日本は93%が国内にあります。
ただ、これが今後増えていった場合、果たして国内で持ち続けることができるか?
国債が暴落し、金利が上がると一気に日本国の経済は破綻します。
日本は素晴らしい技術をもっており、
これらを活かしながら、どうやって国力を回復していくのか。
抜本的な改革を争点にしていかなくてはいけない、と茂木さんもおっしゃっていました。
また講演会後には、高齢者の雇用を促進するには、地方の医療崩壊を防ぐには、
という質問も出ましたが、「まともな政策論争」に早く移行しないと、時間切れに
なってしまう、というのが聴衆側も強く感じているのだと思います。
果たして、民主党が「まともな政策論争」に堪えうるか、自民党が変われるか、
第三党が出現しうるか、いずれもまだまだ全く見えない状況なのだな、
というのが本日の一番の感想でした。
私ごとになりますが、先日中学校1年生になる息子の授業参観に行った時、
先生が「鳩山首相が降りて、、」と発言された時、息子たち生徒がブツブツと
「鳩山さん駄目だと思ったんだよね」、「次、菅さんだろ。何も変わらないよね」、
「きっとあまり持たないよね」とブツブツ私語しているのを聞き、
こんな12歳の男の子にも駄目だと思われている日本の政治や政治家ってどうだろうか、
と思ってしまいました。
「まともな政策論争」が出来、少年少女たちが夢を持てる日本にするには
本当に時間が足らないと思います。
今朝はそれを再度考えさせられる1時間でした。




