私どもがクリニックの新規開業をご支援して、10年近くになります。この間、多くの先生方のサポートをさせていただいてきたのですが、最近、立て続けに開業3-7年目くらいの先生方の次の展開のご相談に乗らせていただくことが増えてきました。医療費の財源の先行きも怪しく、特に直近の制度改定ではクリニックより病院、開業医より勤務医に手厚くなる流れがあり、保険診療で一定の安定経営を実現した先生方は、不安と期待を持って新しい事業に踏み出そうとしておられます。今回は、その中でも何例かをご紹介したいと思います。
A先生は、内科・消化器科で開業6年目、患者さんも1日60-80人と十分に来院しており、評判も良く経営的にはとても安定した状況です。A先生が次に考えているのは、在宅・訪問診療です。今の医療制度では、増え続ける高齢者に対して病院を増やすのでは無く、介護施設や高齢者住宅を増やし、そこに医師が訪問診療をすることが推奨され始めています。A先生もこの流れを敏感に察知し、自分の後輩の先生方に声かけをして共に働くパートナーを探したり、在宅医療の勉強会に積極的に参加して、情報収集を進めておられます。先生が決まり次第、次の展開に進む予定です。
B先生は、整形外科で開業7年目、患者さんも数百人来院し、常勤医師も雇用するなど、非常に順調な成長を遂げられました。現在、B先生が取り組んでいるのは、分院の設立です。常勤医の中で分院院長をお願いできる方を見つけ、同時に、車で30分程度の微妙に自院と競合にならないエリアに物件を見つけ、既に計画に着手され始めています。
C先生、D先生は、移転拡大を目指しておられます。C先生は呼吸器内科、元々はコンパクトなビル診でスタートされたのですが、待合室の広さに限界があり来院患者が頭打ちとなっていました。そこで、より広い場所を求めて、移転拡大開業を実現されました。D先生は精神科、患者さんの予約は常に一杯で盛業中です。開業と同時に始めた精神科ショートステイも順調で、ぼちぼち精神科デイケアを拡大するべく移転先を検討し始めていらっしゃいます。
他にもM&Aで分院を出店された先生、クリニックの隣に介護施設を建設し始めた先生と、多くの先生方が経営が安定されたことで、拡大や多角化といった展開を目指しておられます。また、目に見える形での施設拡大はしないものの、スタッフを充実したり、各種プログラムを拡大したりといった、ソフト面での発展を目指されている先生もいらっしゃいます。
私が、これらの先生方に共通しているなと思うことは、経営に対して自分なりの視点をもっていることと、お金の使い方を一生懸命考えておられることです。開業して成功した先生方の中には、稼いだお金を自分のために使う方々もいらっしゃいますが、これらの先生方は稼いだお金を投資する先として、自分の事業を常に考えておられます。医療機関を経営することが、ここ10年でとても難しくなってきており、先行きが不透明でもあるため、こうした事業投資という観点はとても重要な考え方ではないかと思っております。




