医療機関経営の日記 | コンサルタントとして日々直面する病院・クリニック経営の課題に迫ります。

第20回 患者さんに集まってもらうということ

2009.03.19

いろいろな医療機関のご支援をしていて、特に開業時や経営不振の場合には、"いかにして患者数を増やすか"というテーマになることがとても多いです。この場合、我々の考えの基本はマーケティングの基礎である次の段階にわけて整理をしていくことから始めます。

 ・市場:診療圏にどれだけに患者さんがいるのか?
 ・認知:診療圏内の患者さんに、どれだけその医療機関が知られているか?
 ・試行:診療圏内の患者さんが、どの程度お試し来院(初診)をしてくれているか?
 ・継続:初診患者さんがどれだけ再診につながっているか。

・市場
マーケティングの基礎中の基礎ですが、患者さんがいなければそもそも何をしても意味はありません。一般的な風邪や腹痛、肩こりならばともかく、特殊な治療や検査の場合には、該当する患者さんがどの程度診療圏(通えるor入院できる範囲)にいるかを調べる必要があります。病院を中心に地図を眺め、その地域ごとの主な移動手段(都会なら徒歩、地方なら車など)によって、これくらいなら来ることができるという感覚や、そもそも現在の来院患者さんの分布を調べて、診療圏を決定します。その範囲の人口を住民基本台帳などでしらべて、厚生労働省の統計資料である患者調査(受療率調査)をかけあわせることで、診療圏内における街頭疾病の患者数を把握することができます。この人数が、医療期間として求めている患者数に見合うならば、マーケティングをする価値があります。

・認知
院長の方々に良くお話することですが、基本的に多くの人は健康に生きていて、医療機関と縁がありません。介護でさえ介護保険適用者は65歳以上の人口の20%弱に過ぎないのです。その意味では、どれだけ著名な医療機関も多くの人には"知られていない"と自覚をするところから始めてほしいと思います。"知られていない"と自覚することで、宣伝や広報などが重要になることが再認識されます。具体的な方法としては、最近ではホームページの情報提供は必須で、それに看板、または地域での勉強会開催などが必要です。我々は特にホームページの内容や検索にひっかかるための対策(SEO)に力をいれています。

・試行
仮に医療機関として地域に知られていても、それでも一般の人にとっては、医療機関の敷居は思っている以上に高いものです。ここは、敷居を下げるための努力を医療機関側がする必要があります。具体的には、インフルエンザ予防接種や健康診断、または勉強会などの病気でなくても来られるものを入口商品としたり、看板やホームページで明確に診療の内容や先生の経歴などを説明するなどが必要です。また、忘れていけないのは、受付の電話対応です。受付の電話は、ちょっとかかってみようと思っている潜在患者さんが、医療機関の雰囲気を見るために使うことが多いです。内容は、"診療時間は何時まで?"、"○○は診てもらえるのか?"といった基本的なことですが、その内容そのものよりも、受付が優しく丁寧に受け答えをすることで、第一印象をよくすることができます。まずは敷居をまたいでもらわなければいけないので、受付の対応は本当に大事です。これによって、まずは、"初診"を増やしましょう。

・継続
一度来院された患者さんには、できるだけ再来してもらいたいと思います。そのためには、受付・看護・医師等が一体となって良い診療を実現することはもちろんですが、院内を清潔に保つことや患者さんへの気づかいを忘れないことも大事です。これによって"再診"の患者さんを増やすことが大事ですので、逆に再診患者さんが減っているときは、院内の診療やサービスに問題があると見直す必要
があります。

このように、患者さん集めもマーケティング的に分けて考えていただくと、整理ができるのではないかと思います。患者さん集めが気になりましたら、まずは"市場"、"初診患者数"、"再診患者数"に気をつけてチェックをしてみてください。特にどこに問題があるかは、それだけでも少しわかってくると思います。

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