医療機関経営の日記 | コンサルタントとして日々直面する病院・クリニック経営の課題に迫ります。

第5回  「不動産契約時のチェック」  鈴木勝也

2009.02.27

                                                                                              コンサルタント  鈴木勝也

勤務医の方が開業を決意して、まず検討しなければいけないことは「どこで開業をするのか」という選択です。開業地や、テナントのチェックポイントは各所で示されておりますが、今回はより医療機関独特の不動産契約時の注意点をご紹介させて頂きます。

1. 地域の選定
開業する大まかな地域を選定します。この地域の選定には、周辺住民、競合医療機関を踏まえた定量的な市場調査が良い地域を選定します。また、自宅からの通勤時間、現勤務先からの交通の便(現勤務先の患者を呼び込んで良い場合)なども選定要因となります。

2. テナント、土地の選定
地域が決まったら、具体的に開業するテナント、土地を探します。このフェーズでは、物件前の交通量や視認性などの、物件それぞれの定性的な調査を行います。

3. 契約
賃料や入居時期の条件が決まったら、晴れて契約・・・といきたいところですが、ここで医療機関として契約前にチェックするべきポイントがあります。

・ 給排水設備
どのような医療機関であっても、診察室に手洗いの設置が義務づけられているため、給排水の設備が必要です。店舗物件の場合は設置されていることが多いですが、もともとオフィス仕様を前提として作られた物件においては、この設備が無いことがありますので、ご確認下さい。

・ 電気設備
X-線機器の導入を予定している場合、通常の店舗では使用しない規模の電力量が必要となります。ビル全体の電力量ではなく、電灯・空調・医療機器を全て考慮して、そのテナントでどれだけ使えるのかを明確にしてご判断下さい。

・ 避難経路
テナントでの有床診療所の開設を検討する場合、問題になることがあります。2カ所以上の避難経路の確保が求められる有床診療所では、階段は経路の一つとみなされないこともあり、行政との調整が必須です。

・ 調剤薬局
院外調剤を検討する場合、近隣の調剤薬局の有無を事前に確認して下さい。もし付近に無い場合ですが、診療科目や周囲の医療機関の状況によっては、薬局チェーンの業者に相談すると、門前薬局を開いて頂けることもあります。院外調剤を検討しているが、近隣に調剤薬局が無い場合は、ぜひ相談してみて下さい。

このような項目を契約前にチェックする必要がありますが、電気や給排水の設備面のチェックは、専門家が同席した上で行うことをお勧めします。
というのも、現地の内見を案内するのは仲介として入る不動産業者であり、当然のことながら、設備の専門家ではありません。実際に、上記のような質問に対しての回答を前提に進めた際に、前提条件が違っていたという経験があり、恥ずかしながら私の反省でもあります。言った、言わないの問題となる前に、施工業者や機器メーカーの専門家が現地確認を行い、質問と回答は書面にて交わすことがトラブルを避ける方法です。

こうして、物件の現状把握できたところで、ようやく条件の交渉に入ります。もし設備面での追加工事が必要だと判明した場合は、この時点で、「誰が」、「いくら払うのか」を明確にしておいて下さい。

契約前に条件を明確にすることが、何よりのトラブル回避の方法です。

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