大学病院で循環器内科の専門医として11年間研鑽を積み、3年前にプラタナスに入職して以来、
有料老人ホームに訪問診療を行なう「施設在宅部」に勤務しています。
有料老人ホームへの訪問診療、と言ってもピンと来られないかもしれません。
私も当初はそうでした。第一線を退いた隠居医師が余生を過ごす職場だと思っていました。
しかし今はやってみて、「施設在宅」の意義や面白さと同時に難しさも実感する毎日です。
有料老人ホームへの訪問診療は、配置医がいる特別養護老人ホームとは異なり、
特医総管に沿った医療を行なっています。
特医総管では、在宅(有料老人ホーム等施設を含む)で暮らすお年寄りの健康維持から
ターミナルケアまで全般的に管理し、相談に乗り、治療を行ない、看取りを行ないます。
患者さんの健康状態に変化があれば、24時間365日電話、もしくは往診対応をします。
一人の医師が受けもつ老人ホームは3~5カ所、患者さんは120人から200人の間です。
大体朝一番にホームに行き、ホームに勤務する看護師さんと打合せを行ない、
その後各居室を回って診察を行ないます。
ご高齢の入居者の多くは、医師と会えることをとても楽しみしています。
各ホームでの診察は、大体午前中、もしくは遅くても昼の早いうちに終わります。
しかし、医師としての仕事はここで終わったわけではありません。
その後、入居者のご家族と面談が入ることもありますし、ホームの相談にのることもあります。
これらの用事が終わった後、ホームを去って在宅医療部に戻ってから「カルテの確認」があります。
「カルテの記入」ではなく、「カルテの確認」がある、というのは施設在宅部の場合、
訪問診療中に事務が同行し、横でパソコンを使ってカルテの作成を行ないます。医師は診療後に、
その日の分を確認し、それが電子カルテに貼付けられ正式なカルテとなります。
特医総管の制度では、24時間365日、電話連絡、もしくは往診対応が義務づけられていますが、
プラタナスはグループ診療を行なうことによって、医師のチームの中で分担をし、
一人一人に掛かる負担を軽減し、継続できる仕組みづくりを試みています。
緊急の電話は主治医に掛かってきますが、主治医が取り損ねた場合は、第2コール、
第3コールのバックアップ医が電話をとります。夜間祝日の臨時往診も、主治医が行けない場合
代わって行く「宅当直」の当番制を引いています。(詳しくは、宅直医の募集欄をご覧下さい。)
診療の質を落とさないで、一人一人の負担を減らすためには患者さんに関する情報の共有化が
必須となります。
当院では、患者情報をタイムリーに電子カルテに入力すると共に、iPhoneを使っていつでもどこでも
遠隔から患者情報を医師が閲覧し、診療情報提供書の作成等に活かせるようにしました。
「赤ひげ先生」が一人で頑張るのはなく、皆で行なう「システム・チーム医療」が
プラタナスの目指す姿です。
一人でも多くの医師に、在宅医療、特に施設在宅の面白さを分かって貰うために、
プラタナスでは常勤だけでなく、非常勤の医師も募集しています。
また常勤医で、資格が有り、希望するものは在宅医療学会の定める専門医が取れる体制も整備しました。
私自身は施設在宅が「近未来の医療」を先取りするものだと思っています。
理由はいくつかありますが、まず高齢者の老後及びターミナルケアを目的とすること。
また疾患や必要な手技も内科に留まらず、外科、整形、皮膚科、リハビリ科等多岐に亘ること。
しかも、その高齢者が家族と同居していないこと。(事実、ご家族との連絡はホームの看護師や
スタッフを通して行なうことが多いです。)
また、健康管理や健康維持、ご本人やご家族とのコミュニケーションが治療同様に
大事になること等、が主な理由です。
日本の医療制度が十分に育て上げることが出来なかった「家庭医」、「総合医」機能を、
プラタナスの施設在宅部で構築することが、私達の一つの夢です。
ゴールは「チームによって行なう家庭医・総合医」育成の体制であり、そこで育った先生にとって
働き易い職場づくりです。
今後益々必要とされる分野だと思いますので、ご興味の有る方は、
是非見学にいらして下さい。


