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メールマガジンバックナンバー

No.002(2004/07/05)

メールマガジン , 2004.07.05

目次

ご挨拶

梅雨に入ったのか、終わったのかはっきりしない天気が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。(株)メディヴァでは、今月、のぞみ整形外科クリニック(東広島市)とウエルネス木場公園クリニック(江東区)がオープンし、大忙しでした。のぞみ整形外科は、「おばあちゃんの憩い」の場を目指し、待合室には小川が流れ、充実したリハビリ室を作りこみました。ウエルネス木場公園クリニックも、待合室にミニ水族館を置き、リハビリ室にはウォーターベッド・マッサージ機も置きました。患者さんが求める医療機関の形態は変わりつつあります。

この2つのクリニックは先生が従来の考え方に囚われず、自由に発想した結果出来上がったもので、やはり患者さんの評判は上々です。今後の医療機関経営のあり方を考える上で、このメルマガが何かのお役に立てば、と思いつつ、メディヴァ・メールマガジン第2号をお届けします。

(株)メディヴァ 代表取締役  大石佳能子

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コラム 医療機関経営における「評価」と「格付け」

日本医療機能評価機構による認定病院は、平成16年6月現在1260病院となり、病院の1割を越えた。評価方法については、形式要件に偏っているであるとか、詳細結果が開示されないであるとか問題点は指摘されているが、各病院が外部の目で自院を見つめなおし、病院改革の1ステップとするという意味では相当な成果が出ているのではないだろうか。

一方、病院経営評価の面では昨年より「病院格付け」が言葉としては大流行である。三井記念病院が国際的な格付け機関のフィッチ社によるシングルA格付けを受けた(予定)、というニュースもあった。しかしその後、病院の格付けが続々続くという訳ではないようだ。これは、「格付け」基準が未整備で、必要なデータベースが整備されていないことや、病院のなかの会計・経営情報が未整備で「格付け」に耐え得ないことが原因とされている。同時に「格付け」は、基本的には「資金調達」を目的として行われるため、資金の不要な病院、銀行融資等の代替手段がある病院、または資金が必要でも「格付け」を受けることにより逆効果になることを恐れる病院にとって「格付け」は関係ないものと定義されてしまうからでもあろう。

しかし「格付け」は本当に資金調達のためなのだろうか。最終的な「格付け」成績(シングルA、トリプルB等)はそうかもしれない。しかしながら、医療機関の経営を客観的な基準に照らし合わせて「評価」することは、病院を経営する上で大きくプラスとなるはずだ。

当社では、病院経営の客観的評価として「格付け」ではなく、「ベンチマーキング」を実施している。「ベンチマーキング」とは一般産業界では広く行われている手法で、自己の経営状態をベストプラクティスのところと比べて、差異を評価し、原因を分析することにより、改善活動に繋げる経営手法である。

「ベンチマーキング」に必要なデータベースを構築するために、当社は(株)あおぞら銀行と提携し、数年前より調査を実行し、病院の経営状態を1000以上の指標に落とし込み、順位、偏差値を出している。この「ベンチマーキング」調査の結果、その病院が全国レベルで見て、どの程度のポジションにあるのかを評価し、経営課題を明確にすることが出来る。

例えば病院経営上、継続的にホットな話題である「医療連携」を例に取ろう。「医療連携」が病院のトップマネジメントにとっても戦略的な課題となった背景には、言うまでもなく医療の高度化・専門化と医療財政効率化への要請がある。医療的効果と経済的効率を追求すると、医療機関の機能分担とその間のシームレスな連携が一つの解となる。「医療連携」を促進するために、平成12年4月の診療報酬改定においては、急性期加算が①紹介率30%以上、②平均在院日数20日以内、③入院外来比1対1.5を充たす病院に付与されることになり、「投資を必要としない」収入増として一気に脚光を浴びた。

「医療連携」の状況をベンチマーキングする場合、まず指標となるのは「紹介率」であろう。例えば2002年の数値でみると、地域ナンバーワン・クラスの急性期病院同士を比べた場合、紹介率は最大79.1%である。

しかし、「紹介率」をベンチマーキングしただけでは、「結果」は比較できるが「原因」までは究明できない。より詳しく見るために、「入院ルート比率」を見てみると、「自院外来比率」が最小27.1%、平均53.5%、「外部施設からの紹介比率」が最大52.9%、平均17.6%、「救急車による入院比率」が最大35.1%、平均21.2%である。一方、「外来ルート比率」を見ると、「自院直接外来比率」が最小18.3%、平均56.8%、「外部施設からの初診紹介比率」が最大40.5%、平均20.3%、「救急車搬入救急外来比率」が最大36.9%、平均14.2%である。

更に「医療連携」が「機能分担」を前提とするため、「ベンチマーキング調査」を用いて、自院の地域における「役割」を把握してみよう。例えば、「単価」の数字を見てみよう。「単価」は、病院に集まってくる患者の医療密度を推測する代替指標で、地域における「役割」を推測するために役立つ。病床単価の最高値(2002年度)は、全体では69,663円、科目別では、例えば内科が59,814円、循環器科が146,037円、小児科が35,466円、整形外科が36,536円、脳神経外科が44,826円となっている。外来単価を見ると、全体で20,606円、内科が21,823円、循環器が20,950円、小児科が8,848円、整形外科が9,969円、脳神経外科が16,354円である。

これらの数字は一つの例に過ぎないが、自院の実績数字をこういう値と比べ、順位、偏差値を明らかにすることにより、自院の課題は見えやすくなる。経営収支は黒字でパフォーマンスも比較的良いと思われていた病院が、科目別に見てみると、その黒字の大部分を透析収入に頼っており、他の科目においてはさして見るべきものがなく、地域医療のなかで実際果たしている役割は、2番手、3番手であることが見えて来た例もあった。また、先進的な取り組みを行っているとして注目を浴びていた地域の中核病院が、たまたま他の病院がない地域なので中核足りえただけであり、今後医療圏が広がる可能性のなかで、極めて危うい立場にある場合もあった。

病院の経営者の多くは当然のことながら、自院が「医療的に高度で先進的な病院」としての役割を担いたい、と思うであろう。しかしながら問題は、その実現可能性、もしくは実現までに越えなくてはいけないハードルであり、実現ためのステップである。平成15年8月末の病床区分の届出が、7:3と一般的な推測より大幅に一般病床が多かったのも、療養型病床群の施設基準や点数設定について先行き不透明感があったからでもあるが、自院の「客観的評価」が出来ていない病院が多かったためでもある、と思われる。

元々、当社がこのような「ベンチマーキング」調査をやり始めた経緯は、病院の経営を客観的に測れて、役に立つ指標がなかったからである。各病院は、毎年かなり莫大な量の数値・資料を作成し、役所に提示しているのであるが、第三者はおろか、提出元である病院の経営者に役立つ形でフィードバックされることも稀である。厚生労働省から発表される数字の多くは、全病院(一般病院)を包含しているため、例えば各地の地域ナンバーワン病院同士を比べるなど、経営に役立たせることも困難である。

病院経営改革を行う上で課題の所在を明らかにするために、「客観的評価」は重要である。また、意識の高い経営者であれば、課題の所在は薄々分かっている場合も多く、組織全体で同じような問題意識をもってもらうことがより大きなハードルであることも多い。ベンチマーキングによる評価は、経営者の言葉に「説得力」を持たすのにも大いに役立つと思われる。マクロ的な医療改革のためには、第一ステップとして経営ベンチマーキング・データベースの構築が行われるべきではないかと思うが、いかがであろうか。

(代表取締役 大石 佳能子)

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開業資金の調達 その1 ~ いくら融資が受けられるの?金融機関が見る主なポイントから ~

自己資金が少ないから、、、」と開業をあきらめてはいませんか?

前項のように開業にかかる事業計画をしっかり立てることによって、開業のためにいくらの資金が必要になるかがわかってきます。開業場所や標榜科目にもよりますが、一般に医師一人体制で独立開業を考える際、開業に必要な資金は物件賃貸の場合で4000~7000万円と言われています。土地、建物を購入する場合は、さらにその分あらかじめ資金を用意する必要が出てきますので大きな初期投資となります。通常、いくらドクターとはいえ、全額これを自己資金でまかなうというのは稀で、自己資金で足りない分を銀行や公的機関からの融資で調達したり、医療機器などはリースをかけたりすることになります。

では実際に、開業時にどのくらいの金額の融資をどのような条件(金利・期間)で受けられるのでしょうか?融資を行う金融機関の側に立てば、主として下記のようなポイントが重要になってくることがわかります。

(1)担保
(2)保証人または保証協会の保証
(3)事業性
(4)ドクター本人の収益性、既存のバランスシート

一般的には、上記の(1)か(2)がないと融資を受けることが難しいと考えられているかもしれませんが、昨今は民間金融機関において開業医のための無担保・無保証の融資商品も出てきており、資金調達についてそれほど悲観する必要はなくなってきています。

(1) 担保 - 土地・建物、現金・預金、株券、債券など
一般的に(特に従来は)、金融機関は万が一開業がうまくいかなかった時の債権の保全策として、まず借入人である医師所有の土地建物などにあらかじめ担保権を設定することを考えます。開業のために土地・建物を購入する場合は、その土地・建物に担保権を設定することが多いですし、そうでない場合は、医師の自宅、現預金、株券や債券などを担保として提供することが考えられます。

いずれにしても、ある程度の担保が提供できる場合は、その担保の価値相当の資金を借り入れることは難しくないと言えます。ただし、土地・建物など価値がぶれるもの、換金性がやや低いもの等の場合は、金融機関内部で掛け目(例えば取引価格の0.8など)を考慮することがありますので注意が必要です。

(2) 保証人
提供できる担保がない場合、あるいは担保価値が融資額に足りない場合は、保証人を立てることがあります。通常は同一生計の御家族は保証人としては認められないことが多く、それ以外の第三者で保証人を探すことになります。保証人に関しては、本人の同意はもちろん必要ですが、ある程度の収入や収入の安定性がなければ保証人として認められないこともあります。

保証人を立てることが難しい場合は、保証料を払って公的機関(保証協会等)に保証してもらうという手段があります。ただし、金額が大きくなると保証協会の保証を受けるためにも、自己資金がいくら以上必要だとか、担保を提供することが必要な場合があるのでなかなか容易ではありません。

(3) 事業性 ・・・ 立地、事業計画の妥当性、臨床医としての資質、提供する医療・サービスの質や患者のニーズとの合致性等
たとえ担保・保証が十分にある場合でも、開業における事業性は重要なポイントになってきます。つまり、事業(開業)の実現性が高いか、また業界全体の流れや患者のニーズに合っているか、さらには事業をマネージしていくドクターの資質は十分か、、、などです。それを具体的にあらわしたものが「開業プロセスと成功するポイント 第2回」でもご説明した事業計画書です。融資を受ける際には、担保や保証人だけでなく、事業計画を綿密に立て、第三者に対して説得力のあるものにまとめることがとても大切です。

特に、昨今出てきている無担保・無保証の融資商品の場合、金融機関が融資の可否を決定する際には、事業計画そのもののみを客観的に分析した上で、事業のリスクが十分低い(借入の返済が無理なく可能である)かどうかを判断することになります(金融機関が一般企業や政府に対して行うプロジェクトファイナンス の考え方)。この場合「事業が実現性の高いものであり、ドクター自身にそれだけの資質がある」ということをさらに一層アピールする必要があります。

(4) ドクター本人の収益性、既存のバランスシート
・・・ 既存の借入、自己資金

最後になりましたが、金融機関にとっての重要な関心事のひとつは、借入人であるドクター個人についてです。開業における融資も、一般企業や個人に融資する際と同様、借入人本人の(a)収益性(コスト面を含めて)と、(b)資産・負債を金融機関が分析し、融資の可否・条件を決定します。

(a)収益性
医師であるという属性と経験年数からおおよその年収のレンジは分かりますので、あとは実年齢や専門などから、万が一、開業がうまくいかなかった場合に再度勤務医に戻ることが可能なのか、再度勤務医に戻った場合にいくら収入が得られるのかなどについても、融資の際の判断材料になります。また、裏付け書類がとりにくいところではありますが、ご家計の支出(コスト)も判断材料の一つになります。例えばどんなに高い収入を得られる専門医でも、「子どもが5人いて、すでにそのうち2人が私立の医学部に在籍して学費がバカにならない」など、極端な例ではありますが、家計の固定費が大きいと収益性はその分をマイナスして考えなければなりません。

(b) 資産・負債
一方、資産・負債に関しても、融資を申し込む際にある程度の資料を提出する必要があります。すでに住宅ローンや自動車のローンで既存の借入がある場合は、その分を開業時の借入額にプラスして返済能力を考えますので、受けられる融資の額が減る要因となります。某銀行の担当者は「住宅ローンや自動車ローンは別に担保が設定されているとは言え、返済を考えた時、たとえ医師であろうとも、1個人に対してトータル1億円以上の融資は常識的には難しい」と話されていました。一概に1億円までは借りられるとは言えませんが、ひとつの目安にはなるかと思います。

以上から一般的に開業時に借りられる金額は、
(A) 担保・保証がある場合はその範囲
(B) 事業の実現性が高く、さらにそれを示すことができれば(A)以上も可
(C) ドクター個人に既存の借入がある場合は残高と合わせて1億円前後

ということになります。冒頭で開業資金は4000万~7000万とお話しました。上記の(A)や(C)の状況を変えることはそう簡単ではありませんが、(B)の事業の実現性を高めることによって、自己資金がほとんどなくても開業は可能ということになります。(但し、制度融資など公的な融資を使う場合、保証協会の保証を使う場合などは自己資金がいくら以上必要、という要件があるので、少しでも多いに越したことはありません。)当社でも、事業性の見極め、事業計画書や融資申込書の作成、資金調達先のご紹介・交渉など、個々のドクターのご事情にあわせて行っています。

また融資における金利は、上記のポイントを総合して判断されます。たとえば融資のリスクが低ければ安い金利で借りられますし、リスクが高ければ高い金利とならざるを得ません。また調達先機関によってもさまざまです。比較的安い制度融資等から高いリースまで年利1%台から5%台くらいまで開きがあり、また融資の借入期間やその期間での金利が固定か変動かによっても変わってきます。

 次回は、実際にどのような調達先から借り入れられるのか、またそれぞれの条件やメリット・デメリットは何かをご説明させていただきたいと思います。

( コンサルタント 安宅 雅美 )

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開業セミナー・開業支援情報のご案内

■開業セミナー
(株)メディヴァでは、開業を志す先生方に向けて定期的にセミナーを開催しています。ご参加者を少人数におさえ、用賀アーバンクリニックの先生方の開業経験も共有化して頂きながら、じっくりご相談にのらせて頂きます。

  1. 開業の実例「用賀アーバンクリニック」(見学あり)
    (講師)用賀アーバンクリニック 副院長 遠矢純一郎、他
    • ・用賀アーバンクリニックのコンセプトと実践
    • ・電子カルテの運用と強み・弱み
    • ・開業前後の課題と解決方法、他Q&A
  2. 「患者様に喜ばれ」、「成功する」開業に向けて
    • ・開業準備の流れ、ポイント
    • ・患者様本意の医療サービスの実現
    • ・経営的成功のポイント、他Q&A

◆ 日時:次回開催は9月を予定しております。

◆ 場所:用賀アーバンクニック(世田谷区用賀2-41-18 1階)
東急田園都市線 用賀駅(渋谷より11分)、駅1分 地図 → http://www.plata-net.com

◆ 参加費: 無料

◆ ご参加方法:下記のいずれかへお申し込み、お問合せください
・メール:support@mediva.co.jp
・お電話:03-3709-2992

■ 開業支援情報
開業ステップ、事例、物件情報等に関しては、メディヴァの開業支援
HPをご覧下さい。 → http://www.plata-net.com/ppm/

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連載 開業プロセスと成功するポイント ─> 第2回 <事業計画と作成のポイント>

前回は、経験、スキルの棚卸とコンセプト設計について、お話をさせていただきました。なんとなくかもしれませんが、皆様の頭の中でも、漠然としていたイメージが少し整理されたのではないでしょうか。今回は、事業計画についてお話させていただきます。

事業計画とは何か、どのように作るのか、明確に思い浮かばない方もいらっしゃるかと思います。事業計画は、事業の規模や必要な資金などに応じていろいろな形がありますが、その目的と項目は以下のようなものになります。

事業計画の目的
事業計画の目的は、開業する診療所の医療やサービスの内容を整理し、同時に資金面での投資効果と収支をまとめることで、事業に必要な人・もの・お金を明確にすることです。事業計画を立てることで、施設を探したり、設備や機材を購入したり、銀行融資などの相談にいくことができます。

■ 事業計画に盛り込む項目

(1) 事業背景
(2) 理念、コンセプト
(3) 患者像と市場調査結果
(4) 提供する医療、サービスの説明
(5) 設備、機器導入計画
(6) 投資と資金調達計画
(7) 複数年度の収支シミュレーション
(8) 開業までのスケジュール

つまり事業として始めたいこと(ターゲット患者、提供する医療、準備する機材)は何か、それによる収支、投資計画は適切なものとなっているかということを、第三者が見てもわかるようにまとめてあることが重要です。特に、開業を考え始めたときは、あれもこれもといろいろなことに手を広げたくなってしまい、実際には運営しきれないほどの検査機器や設備が必要になってしまうことがあります。事業計画書は、具体的な数字によって事業の実現性を確認をするための書類でもあります。また、銀行融資を受ける際の重要な書類となりますので、今までにない特色をもつ、実現性の高い事業を設計することを意識することも重要になります。

(1) 事業背景
医師として病院の医療に携わっていると、個別の医療行為の専門性が高まる一方で、医療界全体の動きには疎くなってしまうことがあります。また、銀行などの金融機関の方にとっては医療は一つの業界にすぎず、最新の情報についてはあまりアップデートされていないこともあります。ご自身の知識の整理として、また第三者に説明するときのツールとして、事業背景を言葉にまとめることが重要です。例えば、「最近の介護保険導入とその保険財政の圧迫に伴い、介護予防のリハビリが必須となってきている」とか、「女性の医療ニーズが高まる中、婦人科+乳腺が可能な女性外来が求められている」とか、「急性期病院の平均在院日数短縮に伴い、退院後に在宅医療をうけながら施設に通う患者が増えてきている」などといったテーマです。可能であれば、雑誌等で手に入れられる数値データを盛り込み、より客観的な判断において納得できる背景をまとめると良いでしょう。

(2) 理念、コンセプト
前回、スキルの棚卸とコンセプト設計についてお話をさせていただきました(創刊号)。事業計画における理念とは、それらのスキルを棚卸したあとで、どのような医療を目指したいか、どのようなサービスを提供するかの指針となるものです。開業後にもつながる重要な要素ですので、じっくり時間を使って考えていただきたいところです。このとき、より深く考えていただきたいのは、「地域のかかりつけ医として患者のために尽くします」というような、医療として一般的なこと理念に掲げてもインパクトが薄いということです。より具体的に、どのような形で尽くすのかを深く考え、例えば「患者様の家族みなさまとの付き合いを大事にしたい」、「病気になる前の予防からお付合いをしたい」、「24時間の往診を実現したい」といった言葉によって、クリニック独自の方向性を見出してほしいと思います。

(3) 患者像と市場調査結果、
(4) 提供する医療、サービスの説明
市場調査については次回以降で詳しくご説明しますが、事業計画には、
  ─ どのような患者さんの
  ─ どのような疾病に
  ─ どのような医療を提供するのか、、、ということへの回答が必要です。

患者さんについて、年齢や職業、家族構成などをイメージし、疾病はより具体的に列挙することで、対象となる患者さんの数は自ずと明らかになります。また、提供する医療が明確になることで必要となる施設の広さや検査機器の明細なども明らかになります。もしコンセプト設計の中で少し欲張りすぎた内容を盛り込んでいたとすると、患者さんの像や疾病において絞込みができず、まとめることができないはずです。まとめきれない場合は、もう一度コンセプトの立案に戻ってこのクリニックで実現する医療についてよく考えてみることが必要となります。

(5) 設備、機器導入計画
事業計画としては、前述の実現する医療行為にあわせて、導入する設備や機器をリストアップしておけば十分です。しかし、機器一つとっても性能や付属品は様々であるため、その詳細な選択には注意が必要です。特にクリニックでは1日に来院する患者さんは限られていますので、あまり機器を盛り込みすぎると機器個別での採算が取れなくなる可能性がでてきます。

<例えばMRIの場合>
  性能  購入価格(概算) 機器メンテナンス 収入単価 1日必要患者数
――――――――――――――――――――――――――――――――――
  1.5T   1億5千万    1500万/年    2万円    6人
  1.0T   1億         1000万/年    2万円    4人
  0.3T   6千万        500万/年    2万円    2人

これは臨床検査技師の人件費やオプション・備品などの費用を考慮していない概算の計算に過ぎませんが、同じMRIであっても性能と価格に応じて、採算が変わってくることはご理解いただけるかと思います(注:むやみに安い医療機器をお薦めしているわけではありません。あくまで実現したい医療内容とそれに対する患者ニーズのバランスにおいて、そろえる機器を一つ一つ選定する必要があるという意味です)。また実際に購入にあたっては、業者間の相見積もりなどにより上記よりも安く購入できることもありますので、あくまで参考程度にしていただけたらと思います。

(6) 投資と資金調達計画
上記の検査機器の購入とあわせて、全体資金の投資と資金調達の計画が必要です。当たり前ですが、どのような事業もそれを始めるにあたっての資金が調達できなければ実現にいたることはできません。

主な投資の項目は以下の通りです。特に前払いの家賃や運転資金は見逃しがちなので注意が必要です。
・土地購入費、あるいは賃貸における保証金
・家賃等の前払い費用
・建築費(賃貸における内装費)
・設備機器(CT、MRI、X線等の高額医療機器)
・その他機器(オートクレープ、分封器、冷蔵庫など)
・情報システム(電子カルテ、レセコンなど)
・運転資金(3ヶ月程度の費用見合い)

資金調達には以下の資源が考えられます。当然、金利負担などが安いに越したことはありませんが、事業の実現に至るためには、一時的な無担保融資でしのぐことも検討に値します。資金調達については次回以降、融資は次項の「開業資金の調達において」で詳しくご説明いたします。
・自己資金
・政府保証融資
・担保融資
・無担保融資

(7) 複数年度の収支シミュレーション
単年度の収支シミュレーションは、本などでもよくみかけることと思います。しかし、事業は生き物であって年を経るごとに変わっていきます。また、どのような事業も初年度は赤字で始まることが多いので、必然的に資金繰りが苦しくなることが多いのが現実です。その意味でも、5~10年程度の複数年を見越した収支のシミュレーションが必要になります。患者数の増加やそれに併せた人員の確保をベースとして、累積の収支や資金繰りを同時に検討しておきます。開業後にも当初の計画と見合わせていくことで、予想していたほどうまくいかなかった場合はいつキャッシュが不足するのか、また逆に予想以上に事業が回りだした場合の前倒しすべき投資はどれかといったことを確認していきます。

(8) 開業までのスケジュール
・土地選定     半年~1年
・建築、内装   3ヶ月~1年
・行政申請   1週間~2ヶ月(都道府県による)
・開業前準備  2週間~1ヶ月

上記のスケジュールは概枠ですが、つまりはどれほど短くても半年、通常で1年程度の猶予をみたスケジュールを設定する必要があります。ただし、土地選定は水物であるため、見つかるときには3日で見つかりますし、1年たっても見つからなかったこともあります。また、医局や病院を円滑に辞めるためには相応の時間も必要ですので、大まかなスケジュールを立てつつ、土地の選定状況を確認して微調整していくことになります。

以上が事業計画と作成のポイントになります。最初の計画は、土地選定によるところもあるため、明確にならない面も多いと思います。ただ、土地選定や資金調達を開始するにあたって、考えをまとめるために、まずは簡単に実際に事業計画書を作ってみてはいかがでしょうか。

次回以降、事業計画における各項目について、詳細をご説明していきたいと思います。次は「立地選定」です。

(取締役 コンサルティング事業担当 小松大介)

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今月のメディヴァ

─ のぞみ整形外科クリニック OPEN (6/1)
http://www.nozomi-clinic.jp

─ ウェルネス木場公園クリニック OPEN (6/7)
http://www.wellness-kiba.org/

─ 医療マネジメント学会 (6/12)

─ 開業セミナー 開催 (7/3)

─ 国際ホスピタルショー (予定) (7/14~16)
・アイネット・システムズ(地域連携システム)
・アスクル・アリーナ (企画展示)

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編集後記

今回、「ベンチマーキング」に関連して、医療連携について触れさせて頂いた。医師同士の個人的なレベルでの「医療連携」は昔から存在していた。開業医が、患者のCT、MRIを撮るために、または手術や入院を行うために、医局系列の知り合いや先輩、後輩に依頼するなどはその典型的な例であった。当時は、病院も診療所も「自己完結」が原則であり、「自己完結」の手に余るケースが他の医療機関に回された。また、連携を望むのはどちらかというと診療所側で、大病院にベッドを確保できる開業医の先生は患者さんにも評判が高かった。(余談であるが、最近リメイクされてまた評判を呼んだ「白い巨塔」の原作を読むと、昭和30年代後半、地元医師会が大学病院のベッド確保のために、主人公の財前五郎を教授選に推す過程が詳しく語られているのは興味深い。)

昨今、「医療連携」は病院にとって大きな課題となっているが、これは残念ながら個人レベルで自然発生的には実現しない。病院経営者の方とお話をするとき、「医療連携は営業です」と言って嫌がられることもあるのだが、私はそう思っている。営業の基本は、まず「自分を知ってもらう」こと。これは、営業マンの人間性を売り込むという意味ではなく、自社の製品と何故、うちの製品を使うとお客様にとって「得」があるか、ということを理解してもらうことを意味する。  個人的レベルで自然発生していた「医療連携」は連携するもの同士に「得るもの」があるから、実現していた。今、促進されようとしている医療連携も同じく、患者様もしくは医療者側に「得るもの」がないと、実現されない。

(佳)

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